11.終電座
作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子
終電はなぜ混むの
通勤の時間帯でもないのに
終電はなぜ混むの
みんなもっと早く帰ればいいのに
ってみんな思ってる
わたしも思われてるるるるる
終電は同じラッシュでも
朝よりも感情的なラッシュだ
なぜならば飲んでいる
乗客の八割以上が飲んでる
寝る人 笑う人 爆発したい人
その時突然 すべての人の
耳の奥に響く 不思議な声
ねえみなさん どうしてうちに
そこまでして帰るのです
ねえみなさん どうせ帰っても
疲れて寝て また仕事
帰るのやめませんか いっそこのまま
終電が空を飛ぶ
ふうわりと魔法かけた箱のように
ぎゅうづめのわたしたちを乗せたまま
午前一時の夜空を
道行く人たちが
驚き見上げてるるるるる
まるでこれは銀河鉄道だ
乗客のひとりがそう口に出すと
そうだこれは銀河鉄道だ
口々に人々がそう言いだした
行こう星の海へ
さそりの火はまだかララララ
ねえみなさん それは無理ですよ
わたしはただの電車です
大気圏抜けるその手前
そのまた手前のもっと下
ビルより少し高い それが限界
だけどこれは銀河鉄道だ
低くてもじゅうぶん銀河鉄道だ
乗客はあきらめない
誰ひとりあきらめない銀河の旅
こんな狭いとこに つめこまれてるのに
その時突然 みんなで閃く
星に行けないなら 星になれば
そういうわけで その時から
東京タワーのすぐ上に
あらわれいでたるその星座
ぎゅうづめラッシュの終電座
ななめに長く伸びている
人をつめこみ伸びている
夜はライトをつけている
明るくライトをつけている
だけど昼間に見ると だいぶ汚れてる
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